反物語主義

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「彫刻家」

 大学の文芸会にて「夜景」というお題で書いた作品。ストーリーを極力排する事に努めた。近い時期に書いた別作品から、ひょっとすると自分の文体には暴力描写が似合うのではないか、という思いつきを得たため実験的に試みた作品でもある。

 周囲の人々にも読んでもらったが、内容が内容なだけに合う合わないが出るようだ。まあ……当然と言えば当然か。

「女を磨くと大理石の像になる」という着想だけで、あとはほとんど即興的に書き上げた作品であるが、途中で筆が止まることはほとんどなく、スムーズに完成させることが出来た。珍しいこともあるものだ。書きやすい、ということは向いている、ということだろうか?ともかく、この方向性は今後も取り組んでみることとしよう。

 

 作中に登場する機械音は部屋の静けさを際立たせるために描写したのだが、書き上げてから夢野久作の「ドグラマグラ」と同じではないか!と気が付く。おどろおどろしい雰囲気を出そうと一生懸命になるうちにいつの間にか脳の片隅から引っ張り出していたらしい。これだから無意識は困る……。

 修正しようか迷ったが、今さら手直しするのも億劫だったのでやめてしまった。